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「伝家の宝刀」と「上場株式の評価」


先日、興味深いニュースを耳にしました。


こちらは、相続税を計算する際の非上場株式の評価を巡り争われた裁判で、東京地裁で国税が敗訴となり話題となりました。


ここでいう「伝家の宝刀」こと総則6項(財産評価基本通達6項)とは、国税庁が相続時の財産評価の手法を示す例外規定を示しており、基本通達どおりに評価した場合に、その評価額が実勢価格よりも大幅に低くなるとき、国税当局が再評価することができる強い規定となっています。


同様の事例でも国税当局は連敗しており、非上場株の評価ルール自体の見直しをすべきという声も上がっております。



非上場株式の評価とは

そんな非上場株式の評価ですが、なぜこのように争われることが多いのでしょうか。


非上場株式は上場株式と異なり、客観的な交換価値を示す市場価格が存在しません。

また、非上場会社は、上場会社に引けを取らない規模の会社から、社長が一人で切り盛りしている会社まで、さまざまな会社の規模などに応じて、実態に即した評価を行う必要があります。


非上場株式の評価には、①類似業種比準方式、②純資産価額方式、③これらの併用方式が存在し、会社規模などにより採用する手法や併用の割合が異なります。会社規模の大きい会社が①を使用する割合が大きくなり、また、一般的には①の類似業種比準価額の割合を高めると相続税の負担を軽くしやすくなっています。



具体例

例題を設定してみました。


条件:

・発行済株式:10万株

・資本金:5,000万円

・会社の規模:大会社

・職種:種別工事業

・相続開始:令和6年5月



大会社の場合、①の類似業種比準価額と②の純資産価額の比較をして、低い方の価額を相続税評価額とすることができます。



この例題の場合、類似業種比準価額と純資産価額を比較して、低い方である2,033円がA社株式の1株当たりの相続税評価額となります。


そして、類似業種比準価額は純資産価額の約6割となりました。


このように評価方法によって相続税の負担が異なるため、非上場株式の評価について争われることが度々起こっているのです。


なお、こちらはあくまでも例題であり、業種や企業規模、配当の有無など様々な要件により異なる結果となりますのでご注意ください。



まとめ

以前から非上場株式の相続税評価については、評価方式による格差の大きさが問題となっていました。今後、格差を是正するように通達自体の見直しも起こるかもしれません。


今回の記事の裁判では、国税当局は控訴をしており、上級審で更に争われることになります。今後の動きにも注目していきましょう。




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